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導入事例紹介

30時間分の仕事を
わずか10時間で!?
厚板鋼材の加工速度を
跳ね上げた
最新レーザマシンとは

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従来加工法から
ファイバーレーザへの
加工方法の転換が進む

JIS規格では、3mm以下を「薄板」、3~6mmを「中板」、6mm以上を「厚板」と分類しています。
「厚板」の中で特に高い強度と剛性を備えた重厚で頑丈な鋼材で、厚さが150mmを超えるものは「極厚板」と呼ばれます。主に建築用の鉄骨や柱、梁、橋梁、造船(船体)、大型産業機械や建設機械、圧力容器などで使用されています。
最近は輸入鋼材や海外鉄骨採用拡大の動きも一部で定着化しつつあるほか、人手不足に加え、人件費を含むあらゆるコストの高止まりや上昇が続くなど、市場環境は依然として厳しい状況にあります。

そんな中、厚板鋼材市場では大きな変化が起きています。

これまでは鋼材から切板を加工する際には板厚に対応して、ガス溶断やプラズマ切断が使われてきました。しかし近年、従来の加工法に代わる加工技術として、高出力のファイバーレーザが使われるようになってきています。

「JASS 6 鉄骨工事」改定がきっかけに

鋼材切断にレーザ加工が本格的に採用される契機となったのは、2018年の日本建築学会による「建築工事標準仕様書 『JASS 6 鉄骨工事』」が改訂されたことにあります。同改訂で、ハイテンションボルト(高力ボルト)接合部の穴あけ加工について、一定の条件下でレーザによる穴あけが認められたことで、鉄骨分野へのレーザ加工の適用が進み始めました。これまでドリルで加工していたスプライスプレート、フィラープレート、ガセットプレートなどをレーザで加工できるようになるなど、大きな効果も出ています。
特にファイバーレーザ加工機によって、高いエネルギー効率と絞り込まれた高密度ビーム、ビーム変換機能により、厚板の高速・高精度切断を飛躍的に向上できるようになりました。また、発振器の高出力化が進み、板厚36、40mmの加工が可能となり、導入が加速しています。

そんな中、鋼材業界で注目されているのが、アマダ独自のビーム軌跡制御技術「LBC※1」を搭載したファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe」です。9kW発振器でありながら32mmの厚板鋼板を高い加工品質で実現した点や、最大加工寸法6200×2580mmで8′×20′の大板材をワンパスで加工できる性能が高く評価されています。

※1 LBC=Locus Beam Controlの略

「LBC」はレーザビームを高速で振幅させ、任意の形状に揺動させるビーム軌跡制御技術です。
従来のレーザマシンによる軟鋼の酸素カットでは、素材内部への酸素供給を円滑にするため、切断幅を物理的に広げる必要がありました。しかし、その手法ではエネルギー密度が低下してしまうため、それを補う高出力化が不可欠でした。
これに対し「VENTIS(ヴェンティス)」は、ビームの“軌跡”を自在にコントロールすることで、高輝度な光のエネルギー密度を維持したまま、最適な切断幅を確保します。光そのものを動かして効率的にエネルギーを伝達することで、過度な出力に頼ることなく、切断面品質の着実な向上を実現しました。

さらに、棚システム「AS-6225」と組み合わせることで、さらなる導入効果が期待できます。
自走式で同等の板材(8枚分)を平置きする場合、50m以上の長大なスペースを要しますが、「VENTIS-AJ」の棚システム「AS-6225」は最大15段まで拡張でき、長手方向換算で約90m分もの素材加工を高さ方向に重ねて省スペースに自動化することができます。

そこで、今回はこの「VENTIS-6225AJe」を導入されたお客さまの事例をご紹介します。

重厚長大から軽薄短小へという市場の変化と環境対応を重視

(株)樫本商店(福岡県北九州市、濱屋慎吉社長)は、2013年に「円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業」に応募し、採択されると、従来のCO2レーザマシンに比べ電気使用量を大幅に削減できるファイバーレーザマシン「FOL-3015AJ(2kW)」+「LST-3015FOL」と、自走式ファイバーレーザマシン(2kW)を導入しました。
これを契機に2014年に「FOL-3015AJ(4kW)」+「LST-3015FOL」、2017年に「ENSIS-3015AJ(2kW)」を導入。2019年には「FOL-AJ(4kW)」と自走式CO2レーザマシン(4kW)の入れ替えで、「ENSIS-4020AJ(9kW)」+「AS-4020G」を導入し、その後、2022年に「VENTIS-3015AJ(4kw)」+「LST-3015G」、2024年に「VENTIS-3015AJe(6kw)」+「AS-3015C」を導入しました。

濱屋慎吉社長

濱屋慎吉社長

棚付きのファイバーレーザマシンが「最適解」

「導入した自走式レーザマシンは、レーザ発振器と加工ヘッドを搭載した本体がレール上を自走できます。レールの長さを拡張すれば、いくらでも加工テーブルを長くすることができ、一般的なレーザマシンでは積載できない、特大サイズの大板鋼板加工に対応できます。しかし、設置面積が広大になること、材料搬入や製品搬出の際に機械を停止する必要があることから、作業効率や量産対応が課題でした」。

「これに対してパレットチェンジャー仕様のファイバーレーザマシンは、加工エリア外に多段の材料棚を備えており、材料供給や製品搬出を自動化し、多品種少量生産や量産の加工を長時間連続により行うことができます。また、設置スペースも削減することができます。生産効率を考慮した結果、当社には棚付きのファイバーレーザマシンが最適と考え、アマダ製ファイバーレーザマシンをこれまでに7台導入してきました」。

「現在は板厚60mmまでの加工に対応しており、1枚あたりの平均単重も4~5kgに減少しています」と濱屋社長は語っています。

同社は1949年に先々代の樫本勇氏が福岡県八幡市(現・北九州市八幡東区)で創業、製鋼原料の取り扱いを始めました。1968年に薄板用レベラーを新設して鋼板の委託加工事業を開始し、1970年には丸棒の委託圧延事業にも手を広げ、1974年に(株)樫本商店を設立しました。
その後、石油ショックの影響を受け、委託圧延事業から撤退。1981年に本社所在地を八幡市陣山(現・北九州市八幡西区陣山)に移転し、翌年には特殊鋼の素材販売および鋼材切断事業を開始しました。そして1993年に娘婿の濱屋慎吉氏が3代目社長に就任。1994年に北九州市若松区の響工業団地に本社を移転・集約、2006年に鋼板加工の(有)長門剪断工業(下関市)を吸収合併し、鋼材切断事業に特化して事業を発展するなど、経済社会の潮目の変化に機敏に対応して発展させてきました。

世界情勢は刻々と変化し、企業を取り巻く環境も大きく揺れ動いています。そうした変化に迅速に対応し、お客さまの要望に応えるため、同社は「鉄とともに、熱く、強く、しなやかに」をテーマに掲げています。時には鉄のように“熱く”芯を持ち、時には状況に合わせて“しなやかに”形を変化させる――強さと柔軟さ、その両方を備えてこそ、これからの時代を生き抜けると濱屋社長は考えています。

板厚40mmの良好な
加工を実現

同社は2026年2月に、ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW)」をセカンドステーションと「IJP」(インクジェットプリンター)、6段の棚付きで導入しました。

同社は以前からレーザ加工に特化した成分調整や表面状態の工夫により、通常の鋼板よりもドロスの発生が少なく、厚板でも安定した高精度なレーザ加工が可能な中部鋼鈑製のレーザ用鋼板「SS400-LS」を積極的に活用してきました。最近は、新たに開発された「すみれす※2」を活用するようになりました。「すみれす」とは製造時のCO2排出量を大幅に削減した環境配慮型の電炉鋼材で、既存製品と同等の品質を保ちながら環境負荷を低減できます。

そこで同社は品質重視の経営方針を維持しながら、カーボンニュートラルに対応するため、40mmまでの厚板加工をレーザ加工へ転換する方針を打ち出しました。レーザ加工に切り替えることによってCO2排出量の削減と省人化の両立をはかることができると判断し、新規顧客開拓の強化を目的として、ビーム軌跡制御技術「LBC」を搭載した「VENTIS-6225AJe」を導入しました。

ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW)」+「AS-6225」+セカンドステーション+「IJP」

ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW)」+
「AS-6225」+セカンドステーション+「IJP」

従来、25mm以上の厚板切断加工では発振器の高出力化で対応するのが一般的で、30~50mmを加工するには20kW、25kWという高出力発振器が必要でした。ところが「LBC」を搭載した「VENTIS-AJe」は、ビームの“軌跡”を自在にコントロールすることで加工材に効率的にエネルギーを伝達し、高出力に頼ることなく、切断面品質に優れた厚板切断を実現しています。

同社では導入後に板厚40mmの加工にチャレンジしたところ、切断面品質も良好な加工を実証することができ、現在はそのサンプルを持参して営業活動を行っているそうです。40mmの加工サンプルを見たお客さまからの反応は良好で、先々への期待が膨らんでいるとのことでした。

「VENTIS-6225AJe」で切断した加工サンプル(SS400・板厚40mm)

「VENTIS-6225AJe」で切断した
加工サンプル(SS400・板厚40mm)

「労働環境の変化に伴い、当社でも人手不足に対応した自動化・省人化への対応が課題となっていました。『VENTIS-AJe』の棚システム『AS-6225』は、天井高さの制約もあって6段の棚付き仕様で導入しました。すでに17時間の連続運転にも対応しており、今後はさらに稼働率が向上すると考えています」(濱屋社長)。

※2 「すみれす」は中部鋼板株式会社の登録商標です。

レーザ増設で厚板の
加工速度は3~5倍に

倉敷動力工業(株)(岡山県倉敷市、水畑行弘社長)は2025年11月に、大板材対応ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW・シャトルテーブル仕様)」の国内1号機を導入し、8′×20′(2438×6096mm)の大板材に新たに対応できるようになりました。
新倉庫を建設し、鋼板の常時在庫量を約1500トンまで引き上げるとともに、加工設備の再配置を行って「VENTIS-6225AJe」の設置スペースを確保。これにより切断工程は既設のCO2レーザマシン2台と合わせ、計3台になりました。

厚板の加工速度は従来の3~5倍に向上し、切断面品質も改善しました。また、これまでガス切断で対応していたSS400・板厚30~40mmがレーザ加工で対応可能になりました。8′×20′の大板材に対応するため、加工可能な鋼板サイズが従来の長さ約4mから約6mになり、板厚・サイズの両面で加工範囲が大幅に拡大しました。従来は外部に委託していた加工を内製化したことで、同社が得意としてきた短納期対応に磨きがかかり、利益率の改善に貢献しています。

今後は既設のCO2レーザマシン2台を順次「VENTIS-AJe」に更新していく計画。3年後をめどに年間加工量を現在の1.3倍にあたる約4500トンへと引き上げ、10年後には6000トンの達成を目指しています。

水畑行弘社長(左)と木山紘平専務(右)

水畑行弘社長(左)と木山紘平専務(右)

「VENTIS-6225AJe」を導入した
今期の年間加工量は
前年比7~10%増を見込む

同社は、鋼板の切断から曲げ加工、タップ加工、開先加工までワンストップで手がける鋼材加工企業。かつては農機具部材の加工に特化していましたが、2011年に水畑行弘社長が2代目経営者に就任した頃から地域の鋼材商社との継続取引が始まり、同社初のレーザマシン「FO-MⅡ 3015NT(4kW)」を導入したことで成長軌道に乗りました。2022年5月に鋼材商社出身の木山紘平専務が入社してからは顧客が急増し、2トップ体制で成長を加速させています。

顧客の産業分野は、農機具・建設機械・産業機械・造船・自動車・設備関係・建築など多岐にわたり、それぞれ売上構成比は20%以下にとどめています。戦略的に分散化を進めたことで経営基盤の強靭化を図るとともに、顧客・業種・サイズが異なる製品を効率よく割り付けることで材料歩留りを改善させています。

ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW・シャトルテーブル仕様)」

ファイバーレーザマシン「VENTIS-6225AJe(9kW・シャトルテーブル仕様)」

年間加工量は、2022年が2200トンから年々増加し、2025年になると3450トンと右肩上がりで続伸し、4年間で約1.6倍になりました。期初から「VENTIS-6225AJe」がフル稼働する今期(2026年12月期)は、前年比7~10%増の年間3700~3800トンを目指しています。

加工材料はSS400のほか、縞鋼板(CPL)、冷延材(SPCC)、酸洗材(SPHC-P)、ボンデ鋼板(SECC)、溶接構造用圧延鋼材(SM490A)などで、一般的な鉄工所が日常的に用いる材料は常時在庫し、板厚はSPCC・0.5mmからSS400・190mmまで、ステンレスも板厚19mm程度まで、そのほか、曲げ・タップ・開先といった2次加工にも対応しています。

同社の最大の強みは「対応力」。切板であれば基本的には中1日、曲げ・タップなどの2次加工を含む場合は中2日で納品し、特急案件の即日納品にも柔軟に対応しています。

木山専務は「新しいレーザマシンを導入するのであれば、板厚32mmは加工したいと考えていました。最初は『VENTIS-AJe』の6kW仕様を検討しましたが、32mmのテスト加工をしたところ、切断面のテーパーとノッチが目立ったため、一旦見送りました。その後、9kW仕様の完成の報せを受けて32mmと38mmのテスト加工を実施。厚板に適した長焦点レンズの採用でテーパーも少なく、切断面品質も十分だったので、すぐに契約を申し入れました」と9kW仕様の「VENTIS-AJe」の良さについて振り返っています。

1日10時間稼働で
従来機の30時間分をまかなう

同社の月間加工量は約300トン。今ではその半分の約150トンを「VENTIS-AJe」で加工しています。
それまでは「FO-MⅡ 3015NT(4kW)」が板厚0.5~12mm、「FO-MⅡ4222NT(6kW)」が3.2~28mmを加工し、30mm以上はガス切断機で加工していました。2台のレーザマシンはそれぞれ夜間を含め1日20時間以上稼働していました。
現在は、「VENTIS-AJe」で板厚4.5~40mmを加工しています。「FO-MⅡ 4222NT(6kW)」が加工していたほぼ全量に加え、ガス切断で加工していた30~40mmを取り込みました。「VENTIS-AJe」の稼働時間は1日平均約10時間で、「FO-MⅡ 4222NT」の20時間超とガス切断機を合わせた約30時間分相当をまかなっているといいます。

「VENTIS-6225Aje」で仕入先の東京製鐵のロゴをSS400・板厚40mmから切り出したサンプルワーク

「VENTIS-6225Aje」で仕入先の東京製鐵のロゴをSS400・板厚40mmから切り出したサンプルワーク

木山専務は「LBCを搭載した『VENTIS-AJe』の切断能力は素晴らしい」と太鼓判を押しています。
「カタログ上の最大加工板厚は軟鋼(電炉材)36mmですが、加工条件を工夫すれば40mmも十分に実用レベルで、クレームはまったくありません。世の中には20kW級の高出力機も存在しますが、出力を上げすぎるとレーザの熱や飛散するスパッターでノズルが変形・損傷することもあるため、常用では28mm程度までの加工にとどまっているケースが多いようです。その点、「VENTIS-AJe」はビーム軌跡制御技術によって低い出力のまま切断能力を引き上げているため、40mmの厚板を連続加工しても安定して稼働してくれます」(木山専務)。

水畑社長は、加工前に防錆剤を混ぜた水を吹き付けてひずみの発生を抑制する機能「WACSⅡ」について触れ、「LBCとの相乗効果が大きい。以前の『WACS』は噴霧量が一定でしたが、今は板厚や加工内容によって噴霧量を最適化できます。ひずみをゼロにはできませんが、従来と比べて劇的に抑えられていると思います」と評価しています。

熱ダレやバーニングが発生しやすい角部をシャープに仕上げる「スマートエッジ」の機能も好評です。これはレーザ出力やガス圧などの加工条件をリアルタイムで最適化する技術で、「切断面の品質が同じでも、角部が溶け落ちているのとスマートエッジによるシャープなエッジとでは見栄えが全く違います」(木山専務)としています。

「『VENTIS-6225AJe』の総評としては、文句なしの大満足。3年後に考えていた『FO-MⅡ 3015NT』の更新を前倒しすることも検討中です」と木山専務は語っています。

同社が2036年の達成を目指す「年間加工量6000トン」を、従業員数30名以下の少数精鋭で達成するためには「VENTIS-AJe」のような高速・高生産性・高品質の加工設備が不可欠になるとしています。

これらの導入事例にもあるように「VENTIS-6225AJe」が備える「技術×大板×高品質」の融合による加工能力は、鋼材業をはじめ、建築・鉄骨ファブ、建設機械、産業機械、特殊車両業界など、大型・厚物加工を主力とする現場の生産環境の改善に大きく貢献すると期待できます。

記事:マシニスト出版

厚板鋼材の加工速度を跳ね上げる

「VENTIS-6225AJe」は
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