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モノづくり企業の挑戦

板金加工業界

SDGsの目標に向けて
行動を起こす板金企業
~ 「SDGs私募債」発行や「SDGs宣言」
する企業が増える ~

SDGs

SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」とも呼ばれます。持続可能な開発目標とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されたもので、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

この前文には「この計画(アジェンダ)は、人間と地球、そして繁栄のための行動計画です。そして、より大きな自由と、平和を追い求めるものでもあります。」という言葉で始まり、「ともに持続可能な世界へ向かうこの旅をはじめるにあたり、だれひとり取り残さないことを誓います。」と謳われています。

そして、世界を変えるための17の目標があり、2030年を目標達成期限としています。

SDGs

SDGsに積極的に取り組むことが必要

この目標は世界中の人や企業・団体などがSDGsに対して積極的に取り組んでいくことなしには達成しえない目標です。

では、中小製造業に関連が深いSDGsの目標はどのようなものがあるでしょうか。

メディアでは中小の製造業の事例として
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
などが良く紹介されています。

また、「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」には、
「7-1. 2030年までに、だれもが、安い値段で、安定的で現代的なエネルギーを使えるようにする」
「7-2. 2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす」という2つのターゲットが設定されています。

「13. 気候変動に具体的な対策を」には、
「13-1. 気候に関する災害や自然災害が起きたときに、対応したり立ち直ったりできるような力を、すべての国でそなえる」
「13-2. 気候変動への対応を、それぞれの国が、国の政策や、戦略、計画に入れる」
「13-3. 気候変動が起きるスピードをゆるめたり、気候変動の影響に備えたり、影響を減らしたり、早くから警戒するための、教育や啓発をより良いものにし、人や組織の能力を高める」という3つのターゲットが設定されています。

中小製造企業にもSDGsの目標に向けて具体的な行動を起こすことが強く求められています。

温室効果ガス排出削減目標でSBT認証取得

群馬県伊勢崎市の板金加工企業、島田工業(株)(島田 渉 社長)は2023年1月に中小企業向け「SBT」の認定を取得しました(https://www.shimadaind.jp/news/sbt)。
SBTは「Science Based Targets(科学的根拠に基づく目標)の略で、温室効果ガス排出量削減に対する国際的な枠組みです。

同社はSBT認定の取得にあたり、①2020年比で2030年までに温室効果ガスの排出量を42%削減する、②2050年までに再生エネルギー100%の実現を目指す、という目標を設定。脱炭素社会の実現へ向けた取り組みを推進しています。

全世界のSBT認定取得企業2310社のうち、日本企業は369社(2023年3月1日現在)で、板金業界での取得はまだまだレアケースです。

島田社長は、「島田工業は 、持続可能でカーボンニュートラルな社会の実現をめざし、より一層の社会貢献に努めてまいります。また、SBTの認定と温室効果ガスの削減を通じて、SDGsの7、11、12、13の目標に貢献します」。と語っています。

島田 渉 社長

島田 渉 社長

島田工業(株)が取り組むSDGs4つのテーマ

島田工業(株)が取り組むSDGs4つのテーマ

「SDGs私募債」発行企業が増加

「SDGs私募債」を発行する板金企業が最近増えています。資金調達と同時に、社会課題の解決に貢献でき、SDGsに取り組む姿勢を広くアピールでき、なおかつ優良企業であることの証明、企業イメージの向上につながる―という認識が背景にあるようです。

(株)日本ベネックス(本社:長崎県諫早市、小林 洋平 社長)は、2012年に環境エネルギー事業に参入。それ以来、再生可能エネルギー普及のための課題に取り組む一方、精密板金加工技術を基盤として、大型映像装置、産業・メカトロ機器、空調冷熱機器製造など幅広い板金事業を展開しています。同社は2021年、十八銀行を引受先とする無担保社債「SDGs私募債」を発行しました。

「SDGs私募債」とは、引受先の銀行が私募債を発行する企業から受け取る手数料の一部(私募債発行額の0.1~0.2%)を拠出し、医療・福祉施設、地域の学校や地方公共団体、または公益的な活動を行う法人・団体へ寄付を行うもので、寄付先については発行企業が選択できます。

同社の場合は発行額の0.1%相当が、十八銀行を通して二酸化炭素の抑制支援や環境保全に取り組む、公益財団法人日本環境協会に寄付されました。

小林 洋平 社長

小林 洋平 社長

また半導体製造装置、農業機械から医療機器に至る様々な装置の板金設計~加工~組立、ロボットを使ったFA自動化設備等のモノづくりを、一貫した生産体制で行っている、 (株)三松(本社・福岡県筑紫野市、田名部 徹朗 社長)は、2020年に西日本シティ銀行を引受先として、2021年には福岡銀行を引受先とする「SDGs私募債」2件を発行しています。

現在までに板金業界では数十社が「SDGs私募債」を発行していると思われます。長期の安定資金を確保できるとともに、SDGsに対する取り組み姿勢を、社会に広くアピールできることから今後活用する企業が増えていくと考えられます。

田名部 徹朗 社長

田名部 徹朗 社長

「SDGs私募債(寄付型)」の流れ

「SDGs私募債(寄付型)」の流れ

「SDGs宣言」する企業も増える

また、最近増加しているのが「SDGs宣言」を行う板金企業が増えていることです。
「SDGs宣言」とは、企業や組織、団体などがSDGsへの取り組み方針を定め、持続可能な開発目標の実現・達成に向けた具体的な行動計画をコミットメントすることです。「SDGs宣言」を行えば、主体的な活動を通じて課題解決に貢献するという宣告を社内外に発信できます。

「SDGs宣言」は、国際的な目標に着実に取り組み成長できる企業かどうか、長期的・持続的な企業価値を判断する材料となります。従って、取引先の金融機関等を通して、「SDGs宣言」を行うことで企業価値向上のため、早急に取り組むべき課題の一つとして取り組まれるケースが多いようです。

「SDGs宣言」は、開発目標と具体的な方法を表明した宣告書として、自社のホームページやブログ、SNS、プレスリリースなどで広く公表する必要があります。宣言の文章に決まったルールはありませんが、誰が読んでも理解し易いように表記することが必要になります。

製缶・板金加工、溶接加工、一般機械設備および生産設備全般を行う(株)千成工業(本社・愛知県小牧市、木村 典雄 社長)は 2021年6月に、SDGsの達成に向けた取り組みを行っていくことを宣言されました。

切断・溶接などの本業を通じて、環境保全や汚染予防に取り組み、より良い安全な街づくりに貢献していくとして自社のWebサイトにも公開されています(https://sennari.aichi.jp/sdgs/)。また、直近では小牧市SDGs登録制度にも登録されました。

こうした取り組みが小牧市内はもとより近郊の地域でも知られるようになったことで、最新のデジタル工場で環境にもやさしく社員の健康管理にも気配りする企業として、注目されるようになっています。

2022年4月には同社初となる高卒新入社員が3名も入社し、インターンシップ応募者も増える傾向となっています。

(株)千成工業のSDGs宣言

(株)千成工業のSDGs宣言

同社は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の公式マスコット、「ミライトワ」と「ソメイティ」の立体花壇用骨格を製作し、大会開催期間中にお台場にできた、シンボルプロムナード公園マスコットガーデンに、全身を草花で飾りつけられた2体の像が展示されました。

SDGsへの取り組みも含め、「後ろを振り返っても未来は見えてきません。前へ、前へという気持ちで取り組んでいくことが大切です」(木村彰治専務)という、ポジティブマインドがSDGs達成への第一歩といえそうです。

お台場に展示された「ミライトワ」と「ソメイティ」

お台場に展示された「ミライトワ」と「ソメイティ」

記事:マシニスト出版