第6回 鉄鋼材料の種類 Part5
第2章-5
第2章 鉄鋼材料とは

3. 表面処理鋼板
軟鋼板は、そのままでは耐食性に欠けるため、塗装等の防錆対策をしなければならない場合が多いのが現状です。
このため、これらの軟鋼板の表面に、金属めっき、樹脂塗覆して耐食性、装飾性、塗装性を高めたものが「表面処理鋼板」となります。
この「表面処理鋼板」は、表面処理の方法や種類が豊富で、JIS規格にあるもの、各鉄鋼メーカーの商品名(プライベートブランド)で呼ばれるものなど、多種にわたっています。
「表面処理鋼板」の主な分類は以下の通りです。
表面処理鋼板の分類


1. 亜鉛めっき鋼板
「亜鉛めっき鋼板」は、外観を重視するような部分には使用されませんが、耐食性を必要とする内部部品に使用されています。
「亜鉛めっき鋼板」は、製造法により、「溶融めっき鋼板」と「電気めっき鋼板」に大別されます。
- 溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G3302)①
- めっき後の表面仕上げはレギュラースパングル(亜鉛の結晶が通常の凝固過程において生成し、スパングルを有しているもの)、ミニマイズドスパングル(スパングルを極力微細化したもの)に分類されます。 ※スパングル:「ぴかぴか光る金属」の意。
古くから、トタンの名称で日用品、建材などに使用されてきたのが「溶融亜鉛めっき鋼板」です。最近では製造技術の進歩もあり、日本ではめっき鋼板の約1/2が、この溶融めっき(ドブづけ)が占めており、あらゆる分野に使用されています。JISでは97%以上の亜鉛を含むめっき浴において、両面等圧の亜鉛めっきを施したものを規定しています。
1) 種類、記号、特徴1

熱延原板を用いた場合※1
種類の記号 | 表示厚さmm | 適用 |
---|---|---|
SGHC | 1.6以上6.0以下 | 一般用 |
SGH340 | 高強度一般用 | |
SGH400 | ||
SGH440 | ||
SGH490 | ||
SGH540 |
※1 表示厚さ1.6mm以上3.2mm以下に対して、特に熱延原板の指定がない場合は、熱延原板の仕様を満たす冷延原板を使用してもよい。
冷延原板を用いた場合※2
種類の記号 | 表示厚さa)mm | 適用 |
---|---|---|
SGCC | 0.25以上3.2以下 | 一般用 |
SGCH | 0.11以上1.0以下 | 硬質一般用 |
SGCD1 | 0.40以上2.3以下 | 絞り用1種 |
SGCD2 | 絞り用2種 | |
SGCD3 | 0.60以上2.3以下 | 絞り用3種 |
SGCD4 | 絞り用4種 非時効性b) | |
SGC340 | 0.25以上3.2以下 | 高強度一般用 |
SGC400 | ||
SGC440 | ||
SGC490 | ||
SGC570 | 0.25以上2.0以下 |
※2 a) 受渡当事者間の協定によって、この表にない表示厚さを適用してもよい。
b) 非時効性とは、加工の際にストレッチャストレインを発生しない性質をいう。