第15回 鉄鋼材料の種類 Part14
第2章-14
第2章 鉄鋼材料とは
3. 表面処理鋼板
1. 亜鉛めっき鋼板
- 電気亜鉛合金めっき鋼板
より防錆目標を達成するためには、めっき付着量を多くする必要がありますが、厚めっき材は加工時の剥離、溶接作業性の悪化などの課題があります。
電気亜鉛合金めっき鋼板は、付着量を増加させることなく耐食性に優れ、塗膜の密着性の改善を目的として開発されたものです。
電気亜鉛合金めっき鋼板には、Zn-Fe、 Zn-Ni、 Zn-Co-Cr、 Zn-Mo-Co、Zn-Mnなどがありますが、主としてZn-Fe系とZn-Ni系が用いられています。
① Zn-Fe系 めっき鋼板
10~30%のFeを含有し、塗装後の耐食性が向上します。さらに電着塗装後の耐食性を向上させたものとして、Fe-ZnやFe-P(鉄-リン)の硬質上層めっきを施した2層めっき鋼板があります。
② Zn-Ni系 めっき鋼板
10~13%のNiを含有し、純亜鉛に比べ腐食環境下での金属溶出速度が低く、腐食生成物が安定的であるため、耐食性が向上します。
さらに耐食性を向上させるため、有機皮膜を加えた有機複合めっき鋼板も用いられています。
これは、Zn-Ni合金めっき皮膜の上にクロメート皮膜シリカを含有するエポキシ系樹脂の有機複合皮膜を重ねた3重構造となっており、焼付硬化性、加工性、溶接性、厚めっき並の高耐食性をもっています。
2. 溶融アルミニウムめっき鋼板(JIS G3314)
アルミニウム被覆はクラッド法、拡散浸透法、蒸着めっき法などでも生産されますが、主流は溶融めっき法で、JISでも規格化されています。
このめっき鋼板は、 アルミニウムと鋼板の両特性を兼ね備えた鋼板で、耐熱性、耐食性に優れることから、自動車の排ガス系材料(マフラー、エキゾーストパイプなど)、オーブン、ストーブなどに使用されます。
1)種類、記号
| 種類 | 記号 | 適用 | ||
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | アルミニウム板の付着量記号 | |||
| 1種 | C | SA1C | 耐熱用(一般用) | 40, 60, 80, 100 |
| D | SA1D | 耐熱用(絞り用) | ||
| E | SA1E | 耐熱用(深絞り用) | ||
| 2種 | C | SA2C | 耐熱用(一般用) | 200 |
■アルミニウムの付着量、記号
| アルミニウムの 付着量記号 |
40 | 60 | 80 | 100 | 200 |
|---|---|---|---|---|---|
| 最小付着量(両面、3点法)g/m² | 40 | 60 | 80 | 100 | 200 |
備考:最小付着量(両面、3点法)は、板及びコイルの両面に付着したアルミニウムの最小付着量を示し、供試板から採取した3個の試験片の算術平均に対して適用する。
■製造業者は必要に応じ、板およびコイルに塗油、クロム酸処理などの表面処理を施すことができます。
■表示例
■板厚
| 標準厚さ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 0.40 1.0 |
0.50 1.2 |
0.60 1.4 |
0.70 1.6 |
0.80 2.0 |
0.90 2.3 |
■厚さの許容差
| 記号 | アルミニウム の付着量記号 |
幅 厚さ |
1000未満 | 1000以上 1250未満 |
|---|---|---|---|---|
| SA1C SA1D SA1E |
40 60 80 100 |
0.40以上 0.60未満 | ±0.07 | ±0.07 |
| 0.60以上 1.0未満 | ±0.10 | ±0.11 | ||
| 1.0以上 1.6未満 | ±0.13 | ±0.14 | ||
| 1.6 以上 2.3未満 | ±0.17 | ±0.18 | ||
| 2.3以上 | ±0.21 | ±0.22 | ||
| SA2C | 200 | 0.40以上 0.60未満 | ±0.09 | ±0.09 |
| 0.60以上 1.0未満 | ±0.12 | ±0.13 | ||
| 1.0以上 1.6未満 | ±0.15 | ±0.16 | ||
| 1.6 以上 2.3未満 | ±0.19 | ±0.20 | ||
| 2.3以上 | ±0.23 | ±0.24 |
備考:厚さの測定箇所は、縁側から50mm以上離れた任意の点とする。
■板の標準幅および標準長さ
| 標準幅 | 標準長さ |
|---|---|
| 914 | 1829 2438 3658 |
| 1000 | 2000 |
| 1219 | 2438 3658 |