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  4. 板金材料 | 第16回 鉄鋼材料の種類 Part15

板金加工の基礎講座Ⅳ
板金材料

第16回 鉄鋼材料の種類 Part15

第2章-15

第2章 鉄鋼材料とは

3. 表面処理鋼板

3. ターンめっき鋼板

ターンめっき鋼板とは、冷延鋼板にPb(鉛)-Sn(すず)合金(ターンメタル)をめっきしたもので、溶融めっき法の溶融ターンめっき鋼板として製造されています。
湿潤状態での耐食性が良い、はんだ性が良い、また加工時にめっき層が剥離しない等の特長があり、主に自動車のガソリンタンク等の燃料タンクに使用されています。

4. ぶりき・ぶりき原版(JIS G3303)

ぶりきとは、低炭素鋼板にすずをめっきしたもので、酸性などに対しても耐食性がよく、安全性も高く、はんだ付けが容易である等の特長があり、主に缶詰の缶や、玩具、台所用品などに用いられます。
ぶりきには電気すずめっき処理をした「電気めっきぶりき」と溶融すずめっき処理をした「熱せきぶりき」の2種類に分けられます。
JIS規格では呼び厚さ0.15mm~0.6mmの低炭素鋼一回圧延および、0.14mm~0.36mmの低炭素鋼二回圧延のぶりき、ぶりき原板について規定されいています。

1)種類、記号
種類、記号
ぶりきおよび原板の記号
種類 記号
原板 SPB
電気めっきぶりき SPTE
熱せきぶりき SPTH
■すず付着量
すずの付着量
単位 mm
種類の記号 区分 付着量
表示記号
呼び付着量
(g/m²)
最小平均付着量
(g/m²)
旧付着量
表示記号(参考)
SPTE 等厚めっき 2.8/2.8 2.8/2.8 4.9 ♯25
5.6/5.6 5.6/5.6 10.5 ♯50
8.4/8.4 8.4/8.4 15.7 ♯75
11.2/11.2 11.2/11.2 20.2 ♯100
差厚めっき 5.6/2.8 5.6/2.8 5.05/2.25 ♯50/25
8.4/2.8 8.4/2.8 7.85/2.25 ♯75/25
8.4/5.6 8.4/5.6 7.85/5.05 ♯75/50
11.2/2.8 11.2/2.8 10.1/2.25 ♯100/25
11.2/5.6 11.2/5.6 10.1/5.05 ♯100/50
11.2/8.4 11.2/8.4 10.1/7.85 ♯100/75
SPTH 等厚めっき 12.3/12.3 12.3/12.3 19.0 ♯110
14.0/14.0 14.0/14.0 22.4 ♯125
15.1/15.1 15.1/15.1 23.5 ♯135
16.8/16.8 16.8/16.8 26.7 ♯150
備考
  1. 付着量は、1m²の片面のすず付着量を表す。ただし、等厚めっきの最小平均付着量は、両面の付着量を表す。
  2. 最小平均付着量は、3個の測定値の算術平均の値である。
  3. 旧付着量表示記号は参考のために示したもので、なるべく使用しないことが望ましい。
表示例
差圧めっき表示方法
記号 マークの方法 表示例
薄めっき面のどちらか一方のトリム側端部に幅2mm以下の連続線で表す。 5.6/2.8D
薄めっき側にマークする場合は、幅1mmの連続平行線で表す。 5.6A/11.2
厚めっき側にマークする場合は、幅1mmの連続平行線で表す。 5.6/11.2A
■調質度
一回圧延製品の調質度
記号 目標 ロックウェルT硬さ
HR30T
T-1 49 ± 3
T-2 53 ± 3
T-2.5 55 ± 3
T-3 57 ± 3
T-4 61 ± 3
T-5 65 ± 3
T-6 70 ± 3
備考
  1. 一回冷間圧延のぶりき及び原板の調質度は、本来単一の機械的特性だけによって表すことはできないが、最も有用な機械的特性の指標としてロックウェルT硬さを採用する。
  2. 焼なまし法には、箱焼なまし法と連続焼なまし法があるが、両者のHR30T値が等しい場合でも硬さ以外の機械的特性は、必ずしも同一ではない。したがって注文者はどちらの焼なまし法にするかを、製造業者と協定することができる。連続焼なまし法を協定した場合、表の調質度記号の後に記号CAを追加する。
    (例:T-4CA)
二回圧延製品の調質度(平成3年1月1日から適用)
記号 目標 ロックウェルT硬さ
HR30T
目標耐力(参考)
圧延方向 N/mm2
DR-8 73 550
DR-8 76 620
DR-9M 77 660
DR-10 80 690
備考
  1. 二回冷間圧延のぶりきおよび原板の加工性能は、それに影響するすべての要素を的確に表すことはできないが、有用な機械的特性の指標としてロックウェルT硬さを採用する。
  2. 耐力は、必要に応じて測定する参考値で、スプリングパック試験から求めた換算耐力である。
  3. 焼なまし法には、箱焼なまし法と連続焼なまし法があるが、両者のHR30T値が等しい場合でも硬さ以外の機械的特性は必ずしも同一ではない。したがって注文者はどちらかの焼きなましによるかを製造業者と協定することができる。