1. トップ
  2. コラム
  3. 板金基礎講座
  4. 板金材料 | 第19回 鉄鋼材料の種類 Part18

板金加工の基礎講座Ⅳ
板金材料

第19回 鉄鋼材料の種類 Part18

第2章-18

第2章 鉄鋼材料とは

4. ステンレス鋼板

鋼が錆びることは、大きな欠陥です。しかし、この鋼に約12%程度のクロムを合金させると、鋼の錆びやすい性質が急激に抑制され、錆はほとんど進行しなくなります。
これは、酸化作用によって金属の表面にクロームを主体とする保護被膜が形成され、それがさらなる酸化を抑えるためです。この状態を鋼が不銹性(ふしゅうせい)を持ったといい、不銹鋼(ステンレス鋼)とも呼びます。錆びにくいという特長のほかに、鏡面仕上げが可能なため、装飾用や建築用としても広く使用されています。(冷間圧延ステンレス鋼)

4-1. ステンレス鋼の分類

ステンレス鋼は、鋼とクロムなどを合金したクロム系ステンレス鋼と、鋼とクロム、ニッケルなどを合金にしたニッケルクロム系ステンレス鋼に大別されます。
クロム系ステンレス鋼には、クロムを約13%含有した「13クロム」と呼ばれる鋼種に代表されるマルテンサイト系と、クロムを約18%含有した「18クロム」と呼ばれる鋼種に代表されるフェライト系があります。
また、ニッケルクロム系ステンレス鋼には、クロム18%とニッケル8%を含有した「18-8」と呼ばれる鋼種に代表されるオーステナイト系があります。

ステンレス鋼の分類
1)マルテンサイト系ステンレス鋼(13Crステンレス鋼)

製造工程において高温から急冷するため、焼入れ状態となり、マルテンサイト組織が得られ、硬度が高い鉄鋼材料です。そのため、刃物や洗面用具、アイロン、トースター、タービン羽根などに用いられています。
JIS規格では、SUS403などが該当します。

2)フェライト系ステンレス鋼(18Crステンレス鋼)

炭素が0.12%以下であり、熱処理による硬化がありません。
JIS規格ではSUS430があり、板金用として使用されます。

3)オーステナイト系ステンレス鋼(18-8ステンレス鋼)

フェライト系と同様に、熱処理による硬化がありません。深絞り性に優れており、流し台などの厨房用品、冷蔵庫の棚板、食品工業設備などに幅広く使用されています。JIS規格ではSUS304があり、板金用としてよく使用されます。

ステンレス鋼の特長
鋼種 代表的な鋼種 耐食性
耐酸性
磁性 焼入れ硬化性 加工硬化性 曲げ加工性 方向性
オーステナイト鋼 18-8 なし なし
フェライト鋼 18Cr 有り なし やや良 有り
マルテンサイト鋼 13Cr 有り 有り 有り
オーステナイト系の機械的性質
                                                      
種類の記号 耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び
硬さa)
HBW HRBS
または HRBWb)
HV
SUS301 205以上520以上 40以上 207以下 95以下 218以下
SUS301L215以上 550以上 45以上 207以下 95以下 218以下
SUS301J1 205以上 570以上 45以上 187以下 90以下 200以下
SUS302B 205以上520以上 40以上 207以下 95以下 218以下
SUS304 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS304Cu 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS304L 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS304N1 275以上 550以上 35以上 217以下 95以下 220以下
SUS304N2 345以上690以上 35以上 248以下 100以下 260以下
SUS304LN 245以上 550以上 40以上 217以下 95以下 220以下
SUS304J1 155以上450以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS304J2 155以上 450以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS305 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS309S 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS310S 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS312L 300以上650以上 35以上 223以下 96以下 230以下
SUS315J1 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS315J2 205以上 520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS316 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS316L 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS316N 275以上550以上 35以上 217以下 95以下 220以下
SUS316LN 245以上 550以上 40以上 217以下 95以下 220以下
SUS316Ti 205以上 520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS316J1 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS316J1L 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS317 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS317L 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS317LN 245以上550以上 40以上 217以下 95以下 220以下
SUS317J1 175以上480以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS317J2 345以上690以上 40以上 250以下 100以下 260以下
SUS836L 275以上640以上 40以上 217以下 96以下 230以下
SUS890L 215以上490以上 35以上 187以下 90以下 200以下
SUS321 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUS347 205以上520以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUSXM7 155以上 450以上 40以上 187以下 90以下 200以下
SUSXM15J1 205以上520以上 40以上 207以下 95以下 218以下
耐力、引張強さおよび伸びについては厚さ0.30mm以上に適用する。
注記 1 1 N/mm2 = 1 MPa
注記 2 HRBSおよびHRBWは、板厚の薄い場合に適用できない場合がある。
a) 硬さは、いずれか1種類とする。
 b) HRBの測定は、HRBSまたはHRBWのいずれかでよいものとし、測定値の表示には、HRBSまたはHRBWを明記する。ただし、疑義が生じた場合の判断は、HRBSによることとする。
フェライト系の機械的性質
                             
種類の記号 耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び
硬さa) 曲げ性
HBW HRBS
または
HRBWb)
HV 曲げ角度 内側半径
SUS405 175以上410以上 20以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さ8mm未満 厚さの0.5倍
厚さ8mm以上 厚さの1.0倍
SUS410L 195以上360以上 22以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS429 205以上450以上 22以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS430 205以上420以上 22以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS430LX 175以上360以上 22以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS430J1L 205以上390以上 22以上 192以下 90以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS434 205以上450以上 22以上 183以下 88以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS436L 245以上410以上 20以上 217以下 96以下 230以下 180° 厚さの1.0倍
SUS436J1L 245以上410以上 20以上 192以下 90以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS443J1 205以上390以上 22以上 192以下 90以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
SUS444 245以上410以上 20以上 217以下 96以下 230以下 180° 厚さの1.0倍
SUS445J1 245以上410以上 20以上 217以下 96以下 230以下 180° 厚さの1.0倍
SUS445J2 245以上410以上 20以上 217以下 96以下 230以下 180° 厚さの1.0倍
SUS447J1 295以上450以上 22以上 207以下 95以下 220以下 180° 厚さの1.0倍
SUSXM27 245以上410以上 22以上 192以下 90以下 200以下 180° 厚さの1.0倍
耐力、引張強さおよび伸びについては厚さ0.30mm以上に適用する。
注記 1 1 N/mm2 = 1 MPa
注記 2 HRBSおよびHRBWは、板厚の薄い場合に適用できない場合がある。
a) 硬さは、いずれか1種類とする。
 b) HRBの測定は、HRBSまたはHRBWのいずれかでよいものとし、測定値の表示には、HRBSまたはHRBWを明記する。ただし、疑義が生じた場合の判断は、HRBSによることとする。