長尺材のへミング曲げの
課題は簡単に解決できる
「Vカット加工」で精度問題を解決できます
ドア枠のような長尺材を精度よく曲げるためには、ヘミング部にあらかじめ「Vカット加工」を入れることで、ヘミング荷重を低減することができ、精度のバラツキを抑えることが可能になります。
加工精度が安定することで、その後の工程の組み立てや溶接作業を合理化する「ほぞ溝加工」を取り入れやすくなります。
この「Vカット加工」により、ヘミング加工前の鋭角曲げも十分な角度に曲げることができ、さらに、鋭角曲げに特殊な肩Rの大きなダイを使用することで、キズ防止効果を得ることができます。
※Vカット加工は、ブランクマシンで切り欠きや穴あけ加工と同時に加工できます。
※Vカット加工の対応マシンは、Vカット金型の詳しい紹介からご確認ください。
■「Vカット加工」でヘミング加工を合理化する方法
具体的には、以下の加工手順で行います。
[加工手順]
1.「Vカット加工」はブランクマシンと「Vカット金型」で行います。

ヘミング部Vカット加工
ヘミング部Vカット加工の拡大

Vカット金型
Vカット金型による加工イメージ
2.あらかじめ「Vカット加工」を行うことで鋭角曲げの荷重が低減し、十分な角度に曲げることができます。
これにより、ヘミング加工での材料の滑り出しの危険性を低減し、滑りキズは、肩Rの大きな特殊な鋭角ダイで防止することができます。

鋭角曲げ加工
3.さらに「Vカット加工」によりヘミング荷重が低減し、ヘミング厚みが安定することで製品の加工精度が安定します。

ヘミング加工
ヘミング厚みが同等でも「Vカットあり」の場合は、「Vカットなし」と比較し、ヘミング荷重は1/2に低減します。

材質:SUS304
板厚:1.5mm


Vカットなし
厚み:3.23mm
荷重:950kN/m

Vカットあり
厚み:3.06mm
荷重:400kN/m
■ ほぞ溝で枠の組み立てを合理化
「ヘミング加工」の精度が「Vカット加工」により安定することで、仮組みを合理化する「ほぞ溝加工」の取り入れが容易になります。
ロック機能付きのほぞ溝は、差し込むだけで外れず、正確な仮組み固定が短時間にできます。
これにより、その後の溶接作業を楽にすることができます。

ロック機能付きほぞ溝

差し込み前


差し込み後
「Vカット加工」を行った場合の効果
■ 生産性比較
ヘミング部にあらかじめ「Vカット加工」を行った場合、行わなかった場合と比較し、板金加工工程全体のリードタイムを約23%削減することができます。

※マシン・作業者・作業環境等で時間は変わります。
■ まとめ
★ヘミング部に「Vカット加工」を使ったドア枠加工のポイント
- ヘミング荷重が低減され曲げ加工精度が安定。
- 曲げ加工精度が安定することで「ほぞ溝」が活用でき、組み立て・溶接工数を削減。
- 十分な角度に鋭角曲げができることで、ヘミング加工時の材料の滑り出しが防止しやすい。
- 鋭角曲げに肩Rの大きなダイを使用することで、滑りキズの低減が可能。