材料の変形は「シャー角」
の調整で軽減できる
シャーリング加工機の「シャー角」を最適な角度に調整することで、材料の「反り」、「ねじれ」、「曲がり」を軽減することができます。
「シャー角」とは
「シャー角」とは、別名「レーキ角」と呼ばれ、加工機を正面から見て、上刃を水平方向に対し、斜めに傾ける角度のことをいいます。
「シャー角」をつけるメリットは、材料の板面に対して刃を傾けることで、せん断時に接する面積が小さくなり、少ない力で加工することができます。これにより、せん断面の負荷を低減し、材料の「反り」や「ねじれ」、「曲がり」を軽減することができます。
しかし、デメリットとして、角度をつけ過ぎると逆に材料の変形を誘発してしまうため、注意が必要です。

シャー角の説明図
「反り」、「ねじれ」、「曲がり」を
軽減するためには
1. 「反り」(ボウ)の軽減方法
「シャー角」が大きくなるほど、「反り」も大きくなります。また、同じ板厚でもせん断幅を大きくすることで「反り」を小さくすることが可能です。
→「シャー角」を小さくするとともに、板厚に合わせた適切な、せん断幅を取る
2. 「ねじれ」(ツイスト)の軽減方法
同様に、「シャー角」が大きい、または、せん断幅が小さい場合にも「ねじれ」が大きくなります。これに対し、せん断幅が板厚の20倍程度であれば、「ねじれ」を小さくすることが可能です。その他にも、「ねじれ」は刃の摩耗状態でも影響を受けます。例えば、エッヂの鋭い新しい刃と比べると摩耗した刃の方が「ねじれ」は大きくなります。
→「シャー角」を小さくする、せん断幅を大きくとる、刃替えを行う

シャー角と反りの関係
3. 「曲がり」(キャンバー)の軽減方法
「シャー角」が大きくなるほど、「曲がり」も大きくなります。 また、「曲がり」はせん断幅に大きく影響するため、せん断幅が小さくなるほど、「曲がり」は大きくなります。
→「シャー角」を小さくする、せん断幅を大きくとる
4. 「シャー角」を調整できない機種の場合は?
「反り」、「ねじれ」、「曲がり」を軽減する機構として「逆板押さえ装置」がオプションで設定されている機種があります。
→下から材料を支える「逆板押さえ装置」を使用することで、せん断時の「反り」を最小限に抑えることができます

材料を下から支える「逆板押さえ装置」

「逆板押さえ装置」の有無による変形の比較
※ シャー角が固定の機種もありますので、お手持ちの機械をご確認ください
板厚も「反り」や「曲がり」、
「ねじれ」の量に影響する
また、シャーリング加工では、板厚も「反り」や「曲がり」、「ねじれ」量に影響します。
板厚に合わせて適正な「シャー角」を取ることで、「反り」や「曲がり」、「ねじれ」を軽減することができます。
※シャー角を調整できる油圧式のシャーリングも、取り揃えています。
板厚(mm) | シャー角の範囲 |
---|---|
1~3 | 1°15′~3°30′ |
4~6 | 1°30′~3°45′ |
7~9 | 1°45′~4°00′ |
10~13 | 2°00′~4°30′ |
14~16 | 2°30′~5°00′ |
板厚とシャー角の関係
まとめ
- 「シャー角」の調整により、材料の変形を軽減できる。
- 材質・板厚に応じて、「シャー角」を調整する必要がある。
- 便利な「逆板押さえ装置」などの機能により、「反り」や「ねじれ」を抑制することができる。
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