溶接作業の段取りを
簡単に行いたい
金属製品の溶接作業について
金属製品をつくる場合には、金属材料を加工した部品を付ける作業が必要になります。付けるには、主に熱や圧力を加えて接合する「溶接」の技術が使われることが一般的です。しかし、溶接は熱で変形する熱ひずみが発生しやすく、この変形を抑えるには、あらかじめ部品同士が動かないよう、溶接作業の前にしっかりと固定することが大変重要です。
パイプ架台の製作工程の例
(治具製作を含む)
例えば、パイプ架台を製作する場合を例に溶接作業を見てみましょう。
一般的には以下の工程で製作されます。
1. 材料の加工
材料となるパイプの切断・穴あけ・後処理加工を行い、部品をつくります。
2. 治具の製作
部品に合わせた治具を製作し、部品同士を精度よく位置決めし、しっかりと固定します。
3. 溶接作業
仮付けや本溶接作業を開始し、フレーム構造に加工します。
4. 確認・修正作業
溶接後、加工にバラツキがないか確認し、問題がある場合は、段取りの変更や、治具の修正などを行います。
5. 仕上げ作業
溶接完了後、溶接部やその他各部の仕上げ作業を行います。
6. 品質検査
組み立てた架台にひずみがないか、溶接後の加工精度に問題がないか、製品検査を実施します。
以上のことから、製品が完成するまでには、溶接作業以外に多くの工程が関わっていることが分かります。
段取りと治具の製作が大変重要
溶接作業以外の工程で、特に製品の試作段階においては、いくつもの加工方法を検討し、治具を作り、段取りを繰り返すといった試行錯誤が伴います。これらは、技術の向上や技能伝承も伴うため大切なことであり、決してムダな作業ではありません。
しかし、検査の時点で不備が明らかになったり、想定外の仕様変更が発生した場合、状況次第では治具の作り直しや、大きな段取り換えが必要になってしまいます。試行錯誤が長時間にわたり繰り返されると、納期遅延や生産性の悪化につながり、特に製品の生産数が少ない場合は、採算性の悪化や、生産そのものが難しい状況に陥ることも少なくありません。
このような状況に陥る前に、溶接作業に伴う段取りや治具製作を効率化することが求められます。