目印や、はめ込みで位置決めを簡単・正確に行える
板金加工では、タレットパンチプレス(タレパン)機で、位置決め用の刻印金型を使用することにより、簡単かつ正確に部品の位置決めを行うことができます。
後工程用の目印が打てる
①センターポンチ加工
位置決め用の目印の点を加工する、オーソドックスな方法です。
連続して打つことで点字のようなマーキング加工も可能です。

センターポンチ加工例

パンチング金型の種類
メリット
- 打点が小さいため裏面に凹凸が出ない。
- パンチマーキングとしても利用できる。
視認しやすい目印がつけられる
②刻印加工
センターポンチ加工と同様に、パンチの打点位置に印を打つ方法です。
センターポンチ加工に比べ、刻印が大きく、見やすくなるため、後工程での位置決めの精度が向上します。

刻印加工例

刻印加工用のパンチング金型(上向き)
メリット
- センターポンチに比べて大きく見やすい。
- 様々な形状で刻印が可能。
位置決めを確実に行える
③ハーフシャー加工
ワークに突起をつくる加工です。
ハーフシャー加工により成形された突起と穴を利用し、製品とパーツをはめ合わせることで、位置決めを確実に行うことができます。

ハーフシャー加工
裏面

上図:ハーフシャーと穴あけ加工
下図:はめ合わせにより確実な位置決めが可能
メリット
- 穴と突起による精度の高い位置決めが可能。
- 2カ所加工することで、回転やズレがなく、確実に固定することができる。
位置決め加工の凹凸を少なくできる
④FP加工 (フラットポジショニング)
センターポンチ加工とハーフシャー加工のメリットを融合した位置決め方法です。
ハーフシャー加工同様、位置決めを確実に行うことができることに加え、凹凸が少ないため、パテによる面倒な埋め戻し作業を大幅に軽減することができます。

FP加工
裏面

上図:製品側の意匠面はほぼフラット
下図:ハーフシャー加工同様確実な位置決めが可能
メリット
- 位置決め部分の凹凸を少なくできる。
- 裏面をフラットにできる。
- 2カ所加工することで、回転やズレがなく、確実に固定することができる。
ステンレスの意匠面に凹凸をなくせる
⑤T-UPⅡ加工
ステンレス加工に対応した超硬チップ式を採用し、従来困難であったステンレス材の意匠面に凹凸が出ない、高品位な位置決め加工を実現しました。


加工イメージ
【成形形状】

メリット
- ステンレス材にも加工が可能。
- 安定した位置決めが可能。
- 成形部の裏面に凹凸が発生しないため後処理が不要。
位置決め金型のまとめ
センターポンチ | 刻印 | ハーフシャー | FP | T-UPⅡ | |
---|---|---|---|---|---|
位置決め精度 | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
成形裏面の凹凸 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
成形方向(上下) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
板厚兼用 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 |