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課題解決
提案

ボックス製作時の位置決めと
溶接工数を改善したい

製品事例:配電盤ボックス
イメージ

現状

板金で配電盤などのボックス製品を製作する場合は、一般的に十文字形状の展開で4辺を曲げ加工し、溶接する方法で行われますが、この方法は板取りの歩留りが悪く、多くの材料のムダが発生します。材料費が高騰する昨今、製作コストに大きく影響してしまいます。

歩留りを改善する方法として、片側の2辺を分割する方法があります。
主に立ち上がり寸法が長い(深い)製品で、曲げ加工機で加工ができない場合に用いますが、側板を分割することで効率的にネスティングすることができ、ムダな材料を削減することができます。

十文字形状は板取りのムダが発生

十文字形状は板取りのムダが発生

しかし、代わりに分割した側板の位置決めと溶接工数が課題となります。
いずれの方法も、板金のボックス製品の製作には溶接工程が必須です。特にTIGによる肉盛り溶接は入熱が多いため、さらにひずみ取りを行う必要があります。

位置決め、溶接・仕上げ作業の工数を削減する方法はないでしょうか?

ボックス製品例

ボックス製品例

2辺分割の加工について

  1. 分割した2辺(側板)を仮止め固定
  2. 本溶接の前に側板を板厚の半分の位置(半引き)に位置決めし、その後仮止め固定を行います。
    しかし、半引きの位置に固定する場合、ズレが生じやすく、精密な位置決め作業に大変苦労します。

     

    半引きの位置

    半引きの位置

  3. 角継ぎ手をTIG溶接にて肉盛り
  4. 半引きの位置に仮止め固定した角継ぎ手を、TIGによる肉盛り溶接で、溶接部の仕上げ作業を行います。
    仕上げ作業は、ハンマーで行うひずみ取りの後、グラインダーで曲げRと同等なR面に仕上げます。
    仕上げ作業を綺麗に行うためには高度な経験が必要で、熟練の作業者でも多くの工数がかかります。

グラインダーによる溶接仕上げ作業

グラインダーによる溶接仕上げ作業

R部の断面

R部の断面

加工の課題

これらのことから、ボックスの溶接作業では次の課題が発生します。

  1. 分割2辺の位置決め固定が大変。
  2. TIGによる肉盛り溶接は入熱が多く、ひずみが発生する。
  3. 溶接後は、ひずみ取りやR面の仕上げ作業が必要。