ボックス製作時の位置決めと
溶接工数を改善したい
製品事例:配電盤ボックス

現状
板金で配電盤などのボックス製品を製作する場合は、一般的に十文字形状の展開で4辺を曲げ加工し、溶接する方法で行われますが、この方法は板取りの歩留りが悪く、多くの材料のムダが発生します。材料費が高騰する昨今、製作コストに大きく影響してしまいます。
歩留りを改善する方法として、片側の2辺を分割する方法があります。
主に立ち上がり寸法が長い(深い)製品で、曲げ加工機で加工ができない場合に用いますが、側板を分割することで効率的にネスティングすることができ、ムダな材料を削減することができます。

十文字形状は板取りのムダが発生
しかし、代わりに分割した側板の位置決めと溶接工数が課題となります。
いずれの方法も、板金のボックス製品の製作には溶接工程が必須です。特にTIGによる肉盛り溶接は入熱が多いため、さらにひずみ取りを行う必要があります。
位置決め、溶接・仕上げ作業の工数を削減する方法はないでしょうか?

ボックス製品例
2辺分割の加工について
- 分割した2辺(側板)を仮止め固定
- 角継ぎ手をTIG溶接にて肉盛り
本溶接の前に側板を板厚の半分の位置(半引き)に位置決めし、その後仮止め固定を行います。
しかし、半引きの位置に固定する場合、ズレが生じやすく、精密な位置決め作業に大変苦労します。


半引きの位置
半引きの位置に仮止め固定した角継ぎ手を、TIGによる肉盛り溶接で、溶接部の仕上げ作業を行います。
仕上げ作業は、ハンマーで行うひずみ取りの後、グラインダーで曲げRと同等なR面に仕上げます。
仕上げ作業を綺麗に行うためには高度な経験が必要で、熟練の作業者でも多くの工数がかかります。

グラインダーによる溶接仕上げ作業

R部の断面
加工の課題
これらのことから、ボックスの溶接作業では次の課題が発生します。
- 分割2辺の位置決め固定が大変。
- TIGによる肉盛り溶接は入熱が多く、ひずみが発生する。
- 溶接後は、ひずみ取りやR面の仕上げ作業が必要。