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板金加工の基礎講座

第2回
板金加工で使われる材料

2. 板金加工で使われる材料

板金加工で使用する材料は、軟鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミニウム板、銅板などが主なものです。鋼板は板厚によって、厚板(6mm以上)、中板(3mm以上6mm未満)、薄板(3mm未満)に分けられます。
一般的に、薄板で高い精度を要求されるものが精密板金、中厚板主体でそれ程高い精度を要求されないものが製缶板金と呼ばれています。

2-1. 板金材料の分類

軟鋼板は、熱間圧延鋼板(SPHC)と冷間圧延鋼板(SPCC)が代表的で、一般に“鉄板”と呼ばれています。熱間圧延鋼板は、鋼塊を赤熱状態のままロールで延ばして鋼板にします。(この鋼板の表面には、黒色の酸化鉄膜が付着していて、黒皮材とも呼ばれます)冷間圧延鋼板は、熱間圧延された材料の酸化皮膜を除去した後、常温で圧延加工します(この鋼板には、酸化鉄膜は形成されず、みがき材とも呼ばれます)。
ステンレス鋼板は、鋼にクロムを12%以上添加したもので耐食性に優れています。
表面処理鋼板は、軟鋼板を母材として表面にめっきしたものや、めっきしてさらに塗装したものです。
アルミニウムは軽く、伝熱性、導電性に優れています。
銅も伝熱性、導電性に優れており、銅に亜鉛を添加した黄銅やすずを添加した青銅などがあります。

板金材料の分類

2-2. 材料記号を覚えよう

板金材料は、材料記号で表されます。図面の材料指示や自動プログラミングでの材料表示も材料記号を使っています。代表的なJIS規格の材料記号は、下表のとおりです。

板金加工に使用される材料のJIS記号
区分 名称 記号
鉄鋼 一般構造用圧延鋼材 SS
熱間圧延軟鋼板 SPHC, SPHD, SPHE
冷間圧延鋼板 SPCC, SPCD, SPCE
ブリキ SPTE, SPTH
溶融亜鉛めっき鋼板 SGCC, SGHC
電気亜鉛めっき鋼板 SECC, SEHC
熱間圧延ステンレス鋼板 SUS-HP
冷間圧延ステンレス鋼板 SUS-CP
非鉄 銅および銅合金の板 C××××P
  例えば、黄銅板(3種)の場合 C2801P
例えば、タフピッチ銅板の場合 C1100P
アルミニウムおよびアルミニウム合金の板 A××××P
  例えば、合金番号5052の合金板の場合 A5052P

2-3. 定尺材とスケッチ材

板金材料として主に使われる材料の大きさはJIS規格によって決まっています。これを定尺材と呼び、各鉄鋼メーカーはこの規格の大きさで生産・流通しています。
これに対して、鋼材問屋等が定尺材を板金業等からの注文寸法に切断した物をスケッチ材と呼びます。

定尺材のサイズ(軟鋼板)
規格サイズ(単位:フィート) メートル寸法
3′×6′(サブロク) 914×1829 mm
4′×8′(シハチ) 1219×2438 mm
5′×10′(ゴトー) 1524×3048 mm
定尺材のサイズ(ステンレス、アルミニウム)
規格サイズ
ステンレス アルミニウム
  400×1200 mm(小板)
1000×2000 mm(メーター板) 1000×2000 mm(メーター板)
1219×2438 mm(シハチ) 1250×2500 mm(シハチ)
1524×3048 mm(ゴトー) 1525×3050 mm(ゴトー)

鋼板についてはフィート単位で生産されているのでミリメーター単位に直すと上の表の様に端数となり、3′(フィート)をミリメーター単位に換算すると3′×12×25.4=914.4 mmとなります。
アルミニウム、ステンレスはメーター板と呼ばれる1m×2mの定尺材が良く使われています。

定尺の鋼材は、2トン梱包(通称)にて売買されており、重量を基準としているため、鋼板の板厚によって1梱包での枚数は異なります。

図1
定尺材と高さの関係(鋼板)
呼称 L (mm) W (mm) H (mm)
3′ × 6′ 1829 914 (約) 152
4′ × 8′ 2438 1219 (約) 86
5′ ×10′ 3048 1524 (約) 55