シャーリング加工とは、定尺材から必要なサイズのスケッチ材(切り板)をせん断加工にて切断する工程です。
近年ではNCTやレーザなどのブランク加工工程では、定尺材から直接製品を加工することが多く、シャーの出番は減ってきています。
シャーリングの加工原理は、ハサミで紙を切るのと同じです。切断寸法に位置決めしたバックゲージに材料を突き当て、上刃が下降して切断するしくみです。
ハサミと同じだ!!
シャーリング加工
シャーリングマシンの各部名称
シャーリング加工では、ダレやバリ(かえり)の少ない切断面のほかに、キズや変形が少なく、真っ直ぐで平行に切ることが要求されます。そのためには、切断品質に大きな影響を与えるクリアランスについて理解し、適切なクリアランスで切断しなければなりません。
クリアランスとは、上刃と下刃のすきまをいいます。クリアランスが小さ過ぎると刃に負担がかかり、大き過ぎるとダレやバリが大きくなります。
クリアランスの適正値は、板厚とせん断抵抗に比例します。また適正かどうかは切断面を見て判断します。
各種素材のせん断抵抗と一般的なクリアランス
クリアランスと断面形状
クリアランスが小さいとせん断面が多くなります。
クリアランスが極端に小さいと二次せん断面が発生します。
適正クリアランスのとき、せん断面の割合は板厚の1/3~1/2です。
クリアランスが大きいと破断面が多くなり、だれやバリも大きくなります。
クリアランスと切断面
シャー角とは、上刃と下刃の開き角度のことでレーキ角ともいいます。シャー角を大きく設定して切断すると、力が少なくてすみ、ショックも軽減できます。しかし、シャー角をむやみに大きくすると、下図に示すボウ(たわみ)、ツイスト(ねじれ)、キャンバー(反り)といった変形が生じやすくなります。
シャー角
ボウ、ツイスト、キャンバー
シャー前面
シャー前面※
※撮影のためフィンガープロテクターを外してあります