板材を曲げ加工するときに必要な加圧力を計算する方法は2通りあります。
エアベンディングの曲げ加圧力の計算式を記します。
P : V曲げに必要な加圧力(kN)
C : 補正係数
L : 曲げ長さ(m)
t : 板厚(mm)
σ : 材料の引張応力(N/mm2)
V : Vダイの幅(mm)
※補正係数CはダイのV幅によって異なる係数で一般的には1.33とします。
この式より以下の4つのことが分かります。
※SUS(引っ張り強さ:520~600N/mm2)の曲げ圧力表はこちら 「圧力表の見方」
板厚によりダイの溝巾(V幅)を決めます。最も多く使用されているボトミング(板金基礎講座10 7-3. 曲げ加工の種類を参照)のV幅の適正値は、下表の通りです。
板厚 t | 0.5~2.6 | 3.0~8 | 9~10 | 12t以上 |
---|---|---|---|---|
V幅 | 6t | 8t | 10t | 12t |
パンチの取り付け・取り外しは、手の指の挟まれ防止のため、上下のテーブルを閉じて、パンチとダイのすき間を6mm以下にしてから行います。
板厚2mm、幅100mmの軟鋼板を曲げる際に、金型が閉じる力は2ton(20kN)以上にもなります。
パンチとダイの間には、絶対に手を入れてはいけません。
加工中はもちろんのこと金型の取り付け、取り外し、点検の際も金型間には手を入れないでください。
危険! 手を入れない!
写真のような小さなワークを曲げるときは、折り曲げが始まったら、必ずワークから手を放す習慣をつけることが大切です。
手を放さずワークを保持したままでいると、金型とワークに手を挟まれ大変危険です。
曲げが始まったら手を離す!
金型には、耐圧が刻印されています。必ず耐圧以下で使用しなければなりません。
注)刻印された耐圧表示は、1000mm当たりの圧力です。
曲げ長さが500mmの場合、耐圧は表示圧力の1/2となります。
曲げ加工の精度は基本的に繰り返し精度を指します。
フランジ精度
角度精度
通り精度
曲げ加工が終わった時点でも、材料はダイの両肩に乗っている必要があります。
最小フランジ寸法を求めるにはダイの斜辺の長さとイコールになります。
例:ダイV幅=10mmでは最小フランジ寸法は7mmとなります。
穴加工された穴の縁と折り曲げの間隔が狭いと、穴の周囲の肉が引っ張られるため、穴の外側が膨らみ、穴が変形してしまいます。
対策:① 曲げ加工後に穴をあける → 非生産的
② 間隔を適正にあける → 一般的
③ 穴と曲げ部の間にスリットを入れる → 設計変更による対応
穴の縁と曲げ部までの最短間隔(下図 S1)をとります。
スリット加工による変形防止
V金型(ダイ)による“曲げキズ”が発生するので、キズを嫌う製品は金型や保護シートなどで対策をとる必要があります。