第1回 展開図とは
板金加工は素材の平板をブランクしてから曲げ、溶接などの加工を施して立体の製品を作る加工です。
そのため、最終形状が描かれた設計図を正しく展開することが非常に重要となります。
第1編. 展開図とは
展開図とは
図面に示された設計者の意図を勘案し、加工しやすい方法、品質、コスト(加工時間)なども考慮しながら、曲げ・溶接加工を行う前の形状(ブランク形状)を求めることにより、作成した図面(加工図)のことをいいます。
展開図形を表すときは、以下の例によります。
立体形状
展開図の例
上図は谷曲げの曲げ線を実線で、山曲げの曲げ線を破線で表した例です。
他に、曲げ線は二点鎖線で表したり、谷、山共に破線で表したり、自動プログラミング装置では下図のように表しています。
谷曲げ
山曲げ
また、展開図に曲げ線を描かないこともあります。
第2編. 展開図作成の流れ
1. 読図を行う
- 材質・板厚を図面より確認します。
- 図面より製品の立体形状をイメージしていきます。
- 図面より面の数を求めます。
- 各面の形状をポンチ絵にします。
2. 展開形状を求める
- 面合成法にて展開形状を求めていきます。
先に求めた各ポンチ絵を曲げ部になる線でつなげていき、形状を求めます。 - 注記を確認し、板目方向、表裏を決めます。
3. 外形寸法を求める
- 曲げR、伸び値の確認をします。
- 外側寸法加算法、中立面基準法にて外形寸法を求めます。
曲げR(内R)< 5tのときは 外側寸法加算法
曲げR(内R)≧ 5tのときは 中立面基準法
※内側寸法加算法という手法もありますが、本コラムでは外形寸法加算法を使用します
4. 切り欠き寸法を求める
- 突き合わせ形状(両引き・片引き)の確認をします。
両引きの場合、c+t-α (α=伸び値)
片引きの場合、引かれている側は “c-α”
出ている側は “c+t-α” - 上下左右対称形のときは先に求めた外形寸法(大外)から中の寸法を引いて、2で割ると求めることもできます。
本コラムは、上記の様な展開図作成の手順を理解していただくことを目的としています。
第3編. 読図を行い展開形状を求めよう
1. 読図を行う
前編でも紹介したように、読図は図面より板厚・材質を確認し、製品の立体形状をイメージします。
うまくイメージできないときは、
- 図面より面の数を数えます。
- 各面の形状をポンチ絵にします。
以上を踏まえ、練習問題を解いてみましょう。
練習問題 1
下の図面「BOX-1」で読図の練習をしてみましょう!
Q1. 材質、板厚は?
Q2. 面は何面ありますか?
Q3. 各面の形状を描いてください
練習問題の答えと解説は次の通りです。
練習問題 1の答えと解説
Q1. 材質、板厚は?
答え:SPCC 1.6mm
◆この図面では図枠の表題欄に材質が、注記に板厚が記載されています。
※板厚は図面内に寸法表記されていることもありますのでよく注意してみてください。
Q2. 面は何面ありますか?
答え:5面
Q3. 各面の形状を描いてください
答え:
練習問題の答えと解説を理解できたら、次の演習問題にチャレンジしてみましょう!
演習問題 1
下の図面「ハット三面図」の読図をしましょう!
Q1. 材質、板厚は?
Q2. 面は何面ありますか?
Q3. 各面の形状を描いてください