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板金加工の基礎講座Ⅳ
板金材料

第1回 板金材料の種類

第1章

第1章 板金材料とは

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日本国内の工業材料は、JIS(日本産業規格)で規格化されており、金属材料は「鉄鋼」、「非鉄」に分類されています。
一般的に、板金材料と呼ばれるものは、この分類の中で、板金加工に適した材料であることが必須条件となります。

1. 板金材料の種類

板金材料は、主に次の金属材料が用いられます。

炭素鋼は鉄(Fe)と炭素(C)の合金です。炭素(C)のほかにけい素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)が含まれることから、これらは「鉄の5元素」と呼ばれています。
この5元素の中の炭素(C)の含有量が、鋼の性質に大きく影響するため、炭素の含有量が約2%以下のものを炭素鋼、約2~7%のものを鋳鉄と呼ばれています。
炭素鋼は、炭素の含有量の大小により、低炭素鋼と高炭素鋼に分類されます。

炭素鋼の分類
炭素含有量(C) 特 性
低炭素鋼 0.08~0.4% 焼入れできない。板金加工に適する 
高炭素鋼 0.4~1.6% 焼入れできる
鋳鉄 2~7% もろく、引張強さが低い
  • 一般的に「鋼板」と呼ばれるものは、平板状で供給されるもの(鋼帯からの切板を含む)をいい、「鋼帯」と呼ばれるものは、コイル状で供給されるものに分類されます。
  • 広く板金材料として使用されるものは、強度に優れ展延性に富み、加工が容易な「低炭素鋼板」が使用されます。一般的に「軟鋼板」と呼ばれています。
  • 「鋼板」は、板厚によって薄板(約3mm未満)、中板(3~6mm)、厚板(6mm以上)に分類されます。

2.定尺材とスケッチ材

鉄鋼材料は、以下の各形状で生産されています。

  1. 棒鋼(丸棒、六角棒等)
  2. 形鋼(アングル、H形鋼等)
  3. 鋼板(平板状で板金材料に使用される)
  4. 鋼帯(コイル材)

板金材料としては、主に「鋼板」が使用されます。
生産される板の大きさは、JIS規格によって決まっており、これを「定尺材」と呼びます。新日鉄住金等の各鉄鋼メーカーは、このJIS規格に基づいて決められた寸法で生産しています。
これに対し、「定尺材」を鋼材問屋等が板金業等から注文された寸法に切断したものを「スケッチ材」と呼びます。

下表は、定尺材の代表的な寸法となります。

定尺材の代表的な寸法
(単位:mm)
呼 称 軟鋼板 ステンレス アルミニウム
小板(コイタ) 400×1200 365×1200
3′×6′(サブロク) 914×1829
メーター板 1000×2000 1000×2000 1000×2000
4′×8′(シハチ) 1219×2438 1219×2438 1250×2500
5′×10′(ゴトー) 1524×3048 1524×3048 1525×3050

鋼板についてはフィート単位で生産されているため、国内のmm単位に直すと上の表のように端数になります。
例えば、3′(フィート)をmm単位に換算すると、3′×12×25.4=914.4mmになります。
4′,5′,6′,8′,10′も同じくmm単位に換算すると上の表になります。

このmm単位の数値は覚えにくいですが、板金業界の人は良く使うため、暗記しておいた方がよいでしょう。
ちなみに、アルミニウム、ステンレスは、メーター板と呼ばれる1m×2mの定尺材がよく使用されます。

定尺の鋼板は、2トン梱包の姿で売買されています。
荷姿は下図のようになるので参考にしてください。

2トン梱包の荷姿イメージ

2トン梱包の荷姿イメージ

定尺と高さの関係(鋼板)
(単位:mm)
L W H
3′×6′ 1829 914 約152
4′×8′ 2438 1219 86
5′×10′ 3048 1524 55

3.エキストラ規格

JIS規格の材質や寸法、および数量で、所要な製品が得られない場合は、規格外の材料を鉄鋼メーカーに発注することがあり、これをエキストラ規格品といいます。