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板金加工の基礎講座Ⅳ
板金材料

第2回 鉄鋼材料の種類 Part1

第2章-1

第2章 鉄鋼材料とは

1. 鉄鋼記号の見方

材料を指定する場合は、JIS規格で用いられる記号が使用されます。図面で指定する時もこの記号が使用されるので、板金材料の記号は憶えておく必要があります。

鉄鋼記号は原則として次の3つの部分から構成されています。

記号例
記号例

(1)最初の部分は材質を表す。
(2)次の部分は規格または製品名を表す。
(3)最後の部分は種類を表す。

(1)は、英語、またはローマ字の頭文字、もしくは元素記号を用いて材質を表しているため、鉄鋼材料はS(Steel:鋼)またはF(Ferrum:鉄)の記号ではじまるものが大部分となります。

(2)は、英語、またはローマ字の頭文字を使って板、棒、管、線、鋳造品などの製品の形状別の種類や用途を表した記号を組み合わせて製品名を表しているため、SまたはFの次にくる記号は、次のようにグループを表す記号が付くものが多くなります。ただし、以下のような例外もあります。
例)P:Plate(薄板) PC:Plate Cold(冷間圧延板)
US:Use Stainless(特殊用途ステンレス)
S:Structure(一般構造用)

(3)は、材料の種類番号の数字、最低引張強さ、または耐力を表します。
例)C:Commercial(一般用)
304:種類番号
400:最低引張強さ(N/mm2

鉄鋼材料の種類記号以外に形状や製造方法などを記号化する場合は続けて次の符号または記号を付して表す。

(a) 形状を表す記号
例)CP:冷延板(Cold Plate)
HP:熱延板(Hot Plate)
W:線(Wire)

(b) 製造方法を表す符号
例)D:冷間引抜き(Drawing)
D9:冷間引抜き(等級9級)

(c) 熱処理を表す記号
例)A:焼なまし
N:焼ならし

2.軟鋼板

1. 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)

熱間圧延された鋼板で、土木、建築、鉄道車輌、自動車、産業機械等の構造物に用いられています。
板金材料としては、厚板用として使用されます。

  1. 種類、記号、および機械的性質
  2. 記号例
    種類および記号 引張強さ
    N/mm2(㎏f/mm2
    SS330
    (SS34)
    330~430
    (34~44)
    SS400
    (SS41)
    400~510
    (41~52)
    SS490
    (SS50)
    490~610
    (50~62)
    SS540
    (SS55)
    540以上
    (55以上)

    ( )は旧JIS、㎏単位を表す

  3. 板厚
  4. 標準厚さ
    (単位:mm)
    1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.3 2.5 (2.6) 2.8 (2.9) 3.2
    3.6 4.0 4.5 5.0 5.6 6.0 6.3 7.0 8.0 9.0 10.0
    11.0 12.0 12.7 13.0 14.0 15.0 16.0 (17.0) 18.0 19.0 20.0
    22.0 25.0 25.4 28.0 (30.0) 32.0 36.0 38.0 40.0 45.0 50.0

    備考1. 括弧以外の標準厚さの適用が望ましい
    2. 鋼帯及び鋼帯からの切板は、厚さ12.7mm以下を適用する

  5. 性質
  6. 熱間圧延工程で酸化膜のまま、圧延した板なので、クロカワ(黒皮)材と呼ばれています。
    プレス加工の際は、酸化膜が硬くスケールが出るので金型の寿命が短くなります。
    最近では、酸化膜をショットブラストした鋼板や化学薬品で取り除いた酸洗材も使用されています。
    また、クロカワに対して冷間圧延されたミガキ材(JIS記号例 SS400-D)も使用されています。