手戻りや二度づくりをなくしたい
板金加工の現状
昨今の板金加工で製造される製品は、多品種小ロットで製造されるものが多く、新規品も頻繁にあります。このことは、プログラム工程へ負担がかかる結果となります。
一方、加工工程では試し加工の後に製品加工を行うことが多く、手戻りや二度づくりが多く発生しています。
プログラム工程の課題
プログラミング工程では、三面図をもとに複雑な図面を頭の中で製品をイメージしながら展開図の作成を行っています。
1. バラシ作業に時間がかかる
図面は必ずしも製作する部品単位とは限らず、組立図やサブアッシー図など様々です。
これらの図面を製作する部品単位にバラしていく必要があり、多くの検討時間を費やしています。
2. 展開ミスの発生
展開作業ではどこを曲げてどこを溶接するか、さらに曲げる箇所は自社の設備で曲がるか判断しなくてはなりません。
溶接部の突合せは美観や溶接のしやすさにも関わってきます。
また、伸びをいくつに設定するかなど曲げのノウハウも必要となります。
3. プログラムの修正が多い
ブランクプログラムを作成するには、タレットパンチプレス加工の場合、保有金型の情報やタレットの配置、オーバーライド領域など様々な知識が必要となります。
金型の選定や金型番号の付け方によっては、金型交換頻度が増えるなど、生産性にも影響が出てきます。
レーザ加工の場合は、熱の影響を考慮し、加工の順番をよく考える必要があります。
この様にプログラム作成には様々な知識が必要であり、プログラムによって手戻りや二度づくりなど、様々なトラブルを引き起こすことがあります。
加工工程の課題
現場では、図面、作業指示書をもとに前工程で作られた仕掛品に加工を行っています。
そのため、上流工程のミスが手戻りや二度づくりを引き起こしていることが少なくありません。
1. つくり直しが多い
展開ミスなどは曲げ工程で発見されることが多く、展開図を修正して再度ブランク工程からつくり直す必要があります。
そのため、材料や工数のムダが多く発生します。
2. 段取り換えが多い
つくり直しや試し加工を行うことで、実製品の加工までに手待ちが発生します。そのため、段取りを換えて別の製品を加工し、修正が終わった時点で実製品の加工に取りかかるということも多く発生します。
3. スケジュールの変更が多い
手戻りが発生するたびに、生産計画を組み直すことが必要となります。ときには、納期を順守するために残業したり、休日出勤をするなどシフトの組み直しが発生します。
4. 溶接・仕上げ作業に時間がかかる
展開時に溶接や仕上げまでが考慮されていないと、必要以上に肉盛りをしたり、サンダーがけを行うなど、後工程にしわ寄せが生じることもあります。