第17回
作業用工具
作業用工具とは、製造現場での作業に使用され、作業を補助する工具の総称です。代表的なものには、ドライバーやペンチ、ハンマーなどがありますが、今回は板金加工の現場で使用する頻度が高い作業用工具について説明します。
13-1. 定盤
定盤とは、機械装置の加工/溶接・組立/検査などを行うための基準面として用いられる台のことをいいます。
長方形または正方形の表面をもち、その上面は機械加工などにより仕上げられています。
表面は、機械や装置を固定するために、T溝やネジ穴が加工されているものもあり、測定のための基準線や基準溝をあらかじめ加工しておくことができます。
定盤は、必要な平面精度を保証するために、剛性が高い材質が用いられ、その構造もリブや箱型が多用されています。中でも、特に鋳鉄定盤と石定盤が多く用いられています。
石定盤
13-2. 万力・バイス
1. 横万力
通常、万力(バイス)といえば横万力のことです。作業台に固定して使用します。
口金に銅板かアルミニウム板をL型に曲げたものを当てて、加工物を挟むことで加工物へのキズを防止することが一般的です。
横万力
2. ベタバイス
ボール盤の作業でワークを固定するときに使います。ワークが小さくて、手では保持しにくく危険なとき、ベタバイスに固定して穴あけをします。
ベタバイス
3. シャコ万力
シャコ万力は、上図のような構造の手仕上げ用のバイスです。口の開きをボルトによって調整し、口に対象物を挟んで固定します。
シャコ万力は、ネジ留めや仮組み、接着、溶接、穴あけといった簡単な作業時・加工時の保持・固定具として主に用いられるバイスです。
シャコ万力
13-3. スパナ・レンチ
スパナもレンチもボルトやナットを締め付ける工具を指します。スパナは英語、レンチは米語ですが、日本では一般的に、先端が開いたものをスパナ、それ以外をレンチと呼ぶことが多いですが、はっきりとした定義はないようです。
1. スパナ
スパナの呼びは二面幅(口の幅)で表わします。
スパナはボルト、ナットに口の奥までさし込んで使います。さし込み方が浅いとボルト、ナットの角を痛めますし、スパナが外れやすく危険です。
両側に口がある両口スパナや片側だけの片口スパナなどがあります。
両口スパナ
2. めがねレンチ
めがねレンチはスパナと同様、ボルト、ナットを締め付けたり、緩めたりする工具の一つです。
スパナがボルト、ナットを2点でとらえるのに対し、めがねレンチは6点でとらえるため、スパナより大きな力をかけることができます。
めがねレンチ
3. 六角レンチ
六角穴付ボルトの締め付け、緩めに使用します。呼びは二面幅で表します。先端形状は、標準の六角形状と、ボルトに斜めからさし込むことができるボールポイント形状の2種類があります。六角穴の奥までさし込んで使用します。
六角レンチ
13-4. ケガキに使う工具
ケガキとは、穴あけの位置を決めたり,部品取り付けの位置や基準の線を決めるために材料の上にキズをつけて線を描くことです。
ケガキには、ケガキ針、センターポンチ、スケール、ハイトゲージ、定盤、Vブロックなど、様々な工具が使用されています。
ケガキ針
センターポンチ
ハイトゲージ
13-5. ハンマー
ハンマーの種類には、片手ハンマー、両口ハンマー、プラスチックハンマー、木ハンマーなどがあります。片手ハンマーの呼びは、頭部金具の重さで表します。呼び番号が、1、1/2、1/4などで表されているものは、ポンドという重さの単位で表したものです。呼び番号1(1ポンドハンマー)が標準的なサイズです。
片手ハンマー
両口ハンマー
プラスチックハンマー