半導体業界
ヒートアップする半導体製造装置需要
~4カ月で11.5ポイントの上方修正~
半導体製造装置は3年連続で最高額を更新か
SEMI(国際半導体製造装置材料協会)は、3月に世界の半導体前工程製造装置(ファブ装置)市場動向について、新たな予想を発表しました。
これによりますと、2020年は前年比16%増、2021年も同15.5%増、2022年も同12%増と、3年連続で成長が続き、過去最高額を更新し続けると予測しています。
2020年12月時点で2021年の同市場に対する予測は、同4%増となっていましたが、その後2021年2月には同11%増へと上方修正し、そして今回、新たに同15.5%増へと上方修正しました。わずか4カ月程度で11.5ポイントの大幅な上方修正となりました。
半導体生産ラインはフル稼働
新型コロナウイルス感染症による特需で急増した電子デバイス需要のけん引によるところが大きいと考えられますが、多くの産業分野で半導体の供給不足が生じており、半導体工場の生産ラインは生産能力いっぱいまでフル稼働の状況です。
このため、生産ラインを増設しなければ生産能力は増やせないところまで来ており、製造装置の需要はさらに増加していくと見込まれ、SEMIでは、ファブ装置投資額が2020~2022年にわたって世界全体で毎年約100億ドルずつ増加し、2022年には800億ドルを超えると予測しています(下図)。
出典: SEMI 詳しくはこちら
半導体製造装置は前年比50%を超える増産も
このため、半導体製造装置メーカーは増産を強化しています。
製造装置に関連する板⾦部材を供給する板⾦サプライヤーによりますと装置メーカーからは今春に前年比30~50%の増産、秋以降には70~80%の増産が要請されているといいます。
それに伴い、サプライヤーではコロナ禍にもかかわらず、昨年から工場増設、設備増強など積極的に設備投資を進めている状況です。
ブランク工程には半導体製造装置特有の鏡⾯仕上げのステンレス材加⼯などが求められ、製品の外観品質が厳しくチェックされることもあることから、弊社商品に例えますと、ワンクランプで穴あけ、成形、タップ、外周加工への対応ができるファイバーレーザ複合マシン(ACIES-AJ)などを棚付きで導入される例が多くみられます。
また、曲げ工程にはアセンブリー生産に対応するため、自動金型交換装置(ATC)を備えたベンディングマシン(HG-ATC)などの最新設備が相次ぎ導入されています。
しかし、それでも装置メーカーの高い要望には追いついていけない状況で、秋口に向け、さらに一貫生産に対応する増産投資を計画するお客さまも出てきていることから、半導体製造装置業界のヒートアップは暫く継続すると思われます。
記事:マシニスト出版